<< #0232 | main | #0234 >>

#0233

 




無口な青年が、一番多く口にした台詞だ。

ご宿泊でよろしいですか?、前金で8000円になります。チェックアウトは朝
9時です。延長は10時まで、30分につき1500円になります。キーはオー
トロックになっております。右に回したまま、レバーをお引きください。

7年間もこんなところでバイトを続けたので、様々な人間模様を見させてもらっ
たと思う。ラブホテルのくせに窓口があるんだから、僕は相当な数のえっちしに
来た人たちを見てる。若くもあったから、もちろん通路では十人十色の女性のあ
えぎ声なんかも一通り堪能してきた。部屋に掃除にきてワンフロア全部ものすご
いあえぎ声なんて事もあると、気は狂うよね。
確かに僕にはそんなひどい時期もあったけど、最終的にはとてもためになる何か
を学んだんだと、とにかく自分をごまかしたいよ!

その7年間はここだけではちょっと言い表せない。けどこのバイト中に僕がして
きたことは、現在の僕が生きる上でとても役に立っていると思う。清掃の時以外
は、ほとんど自由時間だったから。いる時間の8割方だよ。
煙草のヤニで塗り固められた窓のない従業員室で、ずっとロックンロールを聴い
て、自分には全く向かない本をたくさん読んで、少年時代の価値ある吸収時代を
再び作り上げようとしていた。まったく質の違った自分になってみたくて、それ
がこのバイトを選んだ一番の理由だった。
環境が環境なだけに、その時間は僕にとってかなり尊かった。自分とは対極の世
界に身を埋めてしまって、途中で死ぬかと思ったけどね。だからやがては花屋の
バイトも並行して始めるしかなかった。

ちょうどその頃だよ。僕が写真を始めたのは。

最近、気軽にデジカメを持って写真を始めた人はたくさんいると思うけど、僕に
とってはカメラ自体は気軽でも、まさに生きるか死ぬかの状態で、写真を始めて
いるんだな。


#0233-02-08 /  Staff Only

at 22:47, yusukesato, 02

comments(0), trackbacks(0), - -

comment









trackback
url:トラックバック機能は終了しました。