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#0143

 



08年、9月。

福岡に住んでいる彼の演奏を再び聴くために、僕は同い年のポンジーと2人で
やって来た。
当初は彼が再びギターを持ち、人前で演奏するはずだったのだが、土壇場でそ
れは叶わなかった。
絵描きのポンジーも彼との久しぶりのライブ・ペインティングを楽しみにして
いた。結婚パーティーでの演奏で友人から頼まれた話らしかったが、どうやら
いつものいざこざがあって、ギターの音色は聴けず、ポンジーがDJに合わせた
ペインティングをしただけで、それは終わった。

その代わり、いつものように彼の作ったイタリアン料理、福岡の美味い魚の店、
ビートルズとニック・ドレイクのアナログレコードの音、十分に堪能させても
らった。彼は暇さえあればクラシックギターの基礎練習をしていて、今はそち
らの方に夢中になっている。
もうあの時の彼は戻ってこないのか、それともさらに腕を磨いている最中かは、
僕にはまだ判断のしようもなかった。

食後に、彼の家の側にある海岸を歩いている。

僕にも似たようなことが言えた。もうあの時の誰かみたいに、魂を込めて写真
を撮っていない。どうでもいいようなデジカメで、ふぬけたシャッター音を鳴
らすのみ。今の段階ではきっと、夢は語れないのだろう。
彼の音楽で、ここまでやってこれたと思っている。真実を表そうと魂を削って
きた者の心、僕も少しは理解しようとしてきた。

世の中には、結果がすべてと考える人もいる。僕はその結果というものをずっ
とずっと憎んできたようにも思う。ただ僕よりも遥かに、それを憎んできた人
もいるだろう。
いつになるかは分からない。けど響けない心を捨てない限り、青い海は戻って
くることはない。

あきらめてはいけない、捨てるつもりはない。彼の音楽を一度でも心に灯した
者は、必ずそう思っている。

いつかの君が、どこにいようとも。



#0143-08-09 /  Ikinomatsubara in Fukuoka

at 03:52, yusukesato, 08

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comment
大輔, 2010/06/22 11:26 PM

信じている!

yusuke, 2010/06/23 12:26 AM

ミートゥー










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